少し考えさせられた「料理と染色」-2-

 タミちゃんが来て、生地を見て柄を決めたのだが、最初の話の時に、
爺ちゃんが「ふくら雀には大ふくら雀が良いんじゃえねぇか?」と言ったのが、タミちゃんの琴線に触れたらしい。
 敢えて同じ柄にする事で、特注中の特注になると思ったらしい。

 だから打合せも早々に(と言っても数時間)で済み、
爺ちゃんが待ちに待ってた飲み会となった。
 いつもなら工房で呑むのだが、タマにはという事で、
お酒が飲めない内藤さんまで居酒屋に行った理由(わけ)は、
爺ちゃんだけだと色々話しても、後で記憶がなくなるから、
どんな話が出たのか分からなくなり、困る事が多いというか、そういう事が殆どだからだ。

 タミちゃんはとても良い人なので、呑み始めて座がほぐれてきた頃を見計らってか、
爺ちゃんが自分の事を本当に考えてくれて嬉しいと言ってくれた。

 その答えの積もりなのかどうなのか、爺ちゃんは「そうぞうはそうぞうだからな。」と答えたが少しろれつが回らず、言葉が不明確だった。

 すかさず麻里さんが「そりゃ、そうぞうは騒々よね。」と言うと、爺ちゃんは少し嫌な顔をしたが、
聞こえないふりをしながら「物を思う、つまりゃ想像だわさ。そして想像は物を作り出す。それが創造だぜ。」
 要するに「想像は創造」と言ったのだが、確かに言葉で言われると分かりづらい。

 「想像は創造って何?」タミちゃんが聞く。
 「タミちゃんは料理が得意だよな。」と爺ちゃん。
 料理も染色も考え方は同じだという。
 自分が食べる料理を一生懸命に作る人もいるが、
多くの場合は家族だったり友人だったりの為に一生懸命作るだろ?。

 食べる人が美味しいと言ってくれたら、凄~く嬉しいじゃん。
 それでさぁ、何を作ろうかって考える時、その料理が皿に盛られて並んだ時を、頭の中で画像で考えるじゃん。
そして相手が食べる姿まで浮かんでくるよな。それが想像だよ。
 んで、料理をする事が好きな人は、こんなオリジナル料理はどうかなとか思い巡らせる。それも想像だよな。

「でも、そんな事、誰だって思うでしょ?」とタミちゃん。
うん、そうなんだけどさぁ、例えばオイラは喰うのは好きだから、
こんな料理を喰いたいっていう想像はつくけどよぉ、
人様が美味しいって言ってくれる料理は、頭ん中でボヤッと思いついても画像にならねぇよ。

 新しい料理を画像に出来る人てぇのは、まず人が喜ぶのが嬉しい人じゃないとね。
そういう人が山ほど料理経験を工夫しながら作ったから、次に何を作ろうかって物が、頭ん中で画像になるんだぜ。
だから想像は創造なんだけどよぉ、それを上手に作るにゃ、練習とか経験が必要。
それも工夫しながらじゃねぇとダメで、ただ経験しただけじゃ、経験したモンしきゃ作れねぇ。
 そんでよぉ、工夫するときに何よりも大(でぇ)事(じ)なのは相手の笑顔だね。
 タミちゃんは料理で相手を笑顔にするからてぇしたモンだぜ。

 オレ達も着物や帯でそうなりたいと思ってるんだけどよぉ、
情けねぇ事に、この年になってもまだまだ勉強不足なんだぜ。
 まだまだ勉強不足という爺ちゃんの言葉に、私と内藤 麻里さんは思わず顔を見合わせました。

 料理と染色に限らず
 物を創りだすという事は、こういう事なのですね。
 さてと、勉強・勉強

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